はり・きゅうは東洋医学に基づく副作用の少ない施術法です。
東洋医学の考え方は、西洋医学が身体をパーツごとに考えているのと異なり、臓器や組織を機能的な集合体ととらえ、そのバランスが崩れたときに「病」が発症するという考え方です。
鍼灸はその東洋医学の治療法の一つで、身体の変化や異常を手で触れたり脈をとったりして状態を把握し、鍼や灸を施すことで身体のバランスを整えて全身の機能を改善しようとする施術です。
近年、少子高齢化、ストレスや精神疾患、生活習慣病の増加などにより、「未病治(みびょうち)」(未だ病気になる前の前段階での施術)の考え方が見直されるなかで、世界各国の医療関係者やWHO(世界保健機関)などが東洋医学、特に鍼灸に注目し、その効果やメカニズムの研究も進められ、薬や手術に頼らない治療法として注目されています。
鍼灸の起源は石器時代の中国にあるとされています、古くは魏の曹操が頭痛もちで鍼灸を受けていたということが知られています。それから日本に伝わったのは奈良時代とされています。日本での鍼灸は漢方と同じく古くから民間療法として定着しています。
痛みは不快なものです。鍼灸はこの不快な痛みのコントロールが得意です。お薬は痛みの伝わりや痛みの物質の発生を一定期間止めるものです。ですが何度も繰り返し鎮痛薬を飲んでいると効果が薄れたり、胃腸の調子が悪くなったりします。痛みを出している部分とその原因の部分とは必ずしも一致しません。鍼灸は痛みの引き金となっている部分(トリガーポイント)に直接アプローチすることができるので効果が出やすいのです。ぎっくり腰や寝違えなどの急性症状には特に効果的です。
鍼灸を受ける方の中にアレルギー性のものや、自律神経の乱れからくる疾患があります。これに対しても鍼灸の得意分野なのです。アレルギーは自分の免疫機能が高まりすぎている状態、自律神経の疾患は、交感神経と副交感神経のバランスが崩れている状態なのですが、鍼灸はこういった免疫機能が過剰反応している状態、自律神経が乱れている状態を落ち着かせることができます。